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身体障害者補助犬法案

2002/04/12 青木慎太朗


 4月10日、衆院厚生労働委員会において、「身体障害者補助犬法案」(議員立法)が全会一致で可決された。同法案の目的は、介助犬や聴導犬に法的地位を与え、盲導犬とともに使用者の社会活動を保障し、ひいては障害者の自立や社会参画を促進してゆこうというところにある。
 盲導犬については公共交通機関を利用することができたが、介助犬などの場合は、公共交通機関を利用する際に個別の審査を受けるのが一般的となっていた。今回の改正により、公共交通機関を始め、不特定多数が利用する公共施設等に対しても受け入れが義務づけられ、「犬を嫌うお客さんがいる」等という理由をもって受け入れを拒むことは許されない(身体障害者補助犬法第七条〜第九条)。
 ただ、障害者が勤務する事業所や事務所については、補助犬の受け入れが努力規定の域にとどまり(同第十条)、同時に住宅の管理者についても、居住者たる身体障害者が介助犬を使用することについて拒まないようにという規定が設けられているが、これも努力規定である(同第十一条)。したがって、「同じマンションの人が犬を嫌がるので…」といった理由から入居を拒まれる可能性がある。
 さらに同法案は、ホテルやレストランといった不特定多数が利用する民間施設について周知期間を認め、今年10月の施行より一年間は義務化が猶予されている。
 今回の法案について所見を述べると、他の先進国に比して著しく立ち後れている身体障害者補助犬の制度化がようやく実現したということが言える反面、これはあくまでも障害者の社会参画、社会生活上のバリアフリーに向けての第一歩であるということを常に忘れるべきではないということである。そしてまた、同法案が成立したからといって、例えば盲導犬が制度化されたのだから点字ブロックの敷設をおろそかにするなどといったことは当然ながら許されないことである。

[青木 慎太朗 2002/04/12]


UP:20050223

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