>HOME 原稿 視覚障害者が高等教育、とりわけ大学に進学することは、今では珍しいことではなくなったように思います。では、大学に入った視覚障害者はどのようにしているのでしょうか? 授業を受けるには、教科書、参考書、配布されるプリントなど、情報面で多くのバリアがあります。教科書やプリントをボランティアが点訳していた時代もありましたが、時間がかかり、点訳が終わったときには、期末試験が終わっていたなんてことも珍しくありませんでした。こうしたことから、語学など一部の科目を除き、教科書やプリントはテキストデータで受け取り、パソコン上で読むというやり方が増えてきています。本をスキャナで読み取り、OCRソフトを使って活字データを抽出し、原本と比べながら校正する「テキスト校正」という支援を必要としています。それに対応しようという大学も増えてきています。 ただ、テキストデータは点字データと異なり、著作権の問題から、取り扱いが難しいという課題があります。本の購入を条件に、テキストデータを提供してくれる出版社も増えていますが、こうした取り組みが増えていけば、本を読む上でのバリアは軽減され、大学でも勉強しやすくなると思います。 移動の問題では、学内での移動は、友達と一緒だったり、大学側が介助者を確保してくれるところもありますが、通学の介助はなく、ガイドヘルプの制度も使えません。ひとりでの通学が、大学に進む事実上の条件になっています。 また、大学には入りやすくなっても、卒業してからの進路の問題は依然残っています。大学は障害者の就労支援のことに詳しいわけではありません。 大学が提供してくれる支援と併せて、学内外でさまざまなネットワークを築き、より良い環境を構築していく必要があるでしょう。それをすべてひとりで考える必要はありません。たとえば関西では関西Student Libraryという視覚障害学生を中心とした団体がありますが、そうした活動に参加し、情報交換や相談に活用するという方法もあります。支援方法が分からない大学には、こちらから教えてあげるというのも有効でしょう。 こうした取り組みが先行事例となり、後に続く人たちに役立つのだと思います。 UP:20090416 ◇原稿 |