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同行援護でできること


*同行援護について*
 平成23年10月より「同行援護」というサービスが開始されました。これについて、(講義で触れる程度に)簡単に説明しておきます。詳しくは事業所や市区町村にお問い合わせください。
 なお、このページは青木が勝手につくっているものです。そして、更新作業が追いついていませんので、情報が最新ではないかも知れません。

 「同行援護」は新たに作られた制度です。よく似た名前の「行動援護」というものがありますが、まったく別物です(役所の担当者が勘違いしていたという話を聞いたことがあります。しっかり勉強しましょう)。

これまでの制度の問題点
 これまでの「移動支援」は視覚障害者だけでなく、全身性障害者や知的障害者なども同じ制度で運用されていました。これは「地域生活支援事業」といって、地域の特性等に会わせて柔軟に対応しましょう、障害者の地域での社会参加を支援しましょうという趣旨の授業の中で行われていました。外出が困難な人たちを対象とした制度です。
 この制度は今も残っていて、視覚障害者以外は使い続けています。視覚障害者だけが「移動支援事業」から出て行った形です。
 では、なぜ視覚障害者だけが引っ越ししたのでしょうか? 視覚障害者の場合、外出の支援といっても、実際に必要なのは、支えて歩いたり、持ち上げたりといった支援ではなくて、例えば外出先にどんなものがあるかを言葉で説明したり、書類を代わりに読んだり、あるいは代わりに記入したりする作業です。
 もちろん、個々のヘルパーや事業所の判断で、これまでもこうした支援は行われていました。しかし、制度上は外出の支援という事になっていて、もしもヘルパーさんから「私は字が汚いから代筆できない」と言われると、それ以上お願いはできなかったのです。
 他にも、養成研修の中で代筆や情報提供について学ぶ機会もなく、見えない/見えにくい人たちに対して、どのように視覚情報(=目から入ってくる情報=見えるもの)を説明すればよいのか、戸惑ってしまう事がありました。また、地域生活支援事業は各市町村で運用されているため、その弊害として、地域によって格差が生じていました。(A市の人は月50時間利用できるのに隣のB市の人は月20時間しか利用できない、等)

同行援護でできること
 こうした問題を解消するために、国の個別給付の形で(これは居宅介護(ホームヘルプ)と同じ制度です)、新たに作られたのが「同行援護」です。「同行援護」では、外出の支援に加え、代筆・代読を含む情報の提供、滞在先での支援も受けられるようになりました。
 例えば視覚障害者が自宅から友人宅に行く場合、厳密に言えば、これまでの移動支援事業の中では、自宅から友人宅までの往復のみが支援対象と考えられていましたが、同行援護では友人宅に滞在中も支援の対象となります(もちろん、利用者本人が必要としない場合は除きます)。通院の場合も、自宅から病院の玄関までが支援の対象とされていましたが、受付〜診察室〜検査室〜会計〜薬局などの移動は、視覚障害者にとっては困難でした。これらも、同行援護ではすべて支援対象となります。
 また、買い物に行った際、例えば電化製品を買って帰ってきたとして、説明書が読めずに使えないと困っていた視覚障害者も多かったと思いますが、同行援護の制度では、電化製品を買いに行き、説明書を読んでもらう(代読)まで、支援対象に含まれると考えられています。(ただし、家電製品の取り付け等は対象外です)
 養成研修でも、情報提供に関する科目が追加されています。また、代読や代筆に関する科目も追加されました。私が担当している講座では、問診票のサンプル等を用いて、代筆の演習も行っています。


UP:20120324 REV:20150118