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同志社大学キリスト教文化センター点訳講座講演

適当に、倜戃不羈に、同志社に学ぶ

December 27, 2004
青木 慎太朗

1.最初の質問
問1:「視覚障害」あるいは「視覚障害者」といって思いつく単語を答えてください。

2.点字のこと
問2:点字は、普通の文字が読めない視覚障害者の文字である・か?
(1)視覚障害者に対する通常の理解
  見えない、普通の文字が読めない → 不可能性(disability)が付与される
  *健康な人を基準に考える医療モデルがある。
(2)生活に着目する
  目で見る生活をしない/見ないで生活する
  →点字は目で見る生活をしない人、あるいは見ないで生活する人が使用する文字

3.活動のこと・1 -視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会
「誰もが自由に安全に歩ける街づくり」を目指して活動している。
(1)佐木訴訟
  1995年、大阪市営地下鉄御堂筋線天王寺駅で視覚障害男性の接触・転落事故発生
  現場は、点字ブロックもない、転落防止柵もない、危険な空間。
  ホームの端だったため、「通常、誰も立ち入らない」と判断。
  安全対策の不備から、裁判へ。
  1999年、提訴・ブルックの会設立
  2001年、大阪地裁で敗訴。2003年、大阪高裁で和解成立。
(2)現在の取り組み
  大阪環状線駅ホーム安全性調査(2004.10.11実施)
  大阪環状線駅ホーム利便性調査(2004.3.7実施)
  JR阪和線杉本町駅転落死亡事故に関する調査とJR西日本への改善要求(2004.12~)
  大阪駅周辺「ことばのマップ」制作(2001.10~)
  *ホーム可動柵についてのシンポジウム(2005.2予定)

4.活動のこと・2 -障害学生支援
(1)動機
 自分も障害学生だから。何か困ったことがあったときに、相談できる仲間がほしかった。そして、大学と交渉するのに、団体に属していることは有利。
(2)関西Student Library(関西SL)
 2000年度事務局長、2001年度会長。在任中、「学内環境アンケート」を実施。各大学の障害学生支援の状況について調査。主な項目は、①点字教科書の保障、②設備改善、③講義での配慮、④情報保障、⑤サポートシステム。
 ①については、「点字」という発想は古い。また、「教科書」という発想も同じ。視覚障害学生には、点字のできない人もいる。最近では、テキストデータをむしろ必要とする学生もいる。また、教科書を使わない授業も増えているし、より発展的に学習するための文献や資料が必要。大学は柔軟に対応すべき。点訳ボランティアにも、点訳は要らないがOCR+テキスト校正、という作業が求められている。点訳に固執する人もいるようだが、視覚障害者の要求に応えてほしい。
 ②はパソコン機器の購入や点字ブロック敷設など。ただ、学内の駐車・駐輪・座り込み対策も含めて考えるべき。また、より広く、通学路の安全も考える必要がある。
 ③の講義での配慮は、板書の読み上げや指示語を使用しない、等の配慮をしているか、というもの。体育や実験・実習での配慮も含める。
 ④の情報保障は、ここではとりあえず狭い意味での情報保障(informationとしての情報)。掲示板の情報をちゃんと視覚障害者に伝えているか、というもの。
 ⑤のサポートシステムは、大学として、きっちりとしたシステムをもっているか、というもの。職員が代わったら対応が変わった、ということはよく聞くが、私たちのアンケートに対して、大学側でそれを認めたところはない。
(3)最近の動き
 関西SLはここ最近、活動が停滞している。プラスに評価すれば、活動に参加する必要に迫られる当事者が減っている、ということ。本当か?
 2003年11月、深田麗美さん等によって、「京都リップル」が設立される。「各大学の障害学生支援状況を改善し、障害学生らが勉強しやすい環境作りを目指す」(同会HPより)を目的としている。関西SLのように視覚障害に限定していないところが特徴。
問3:どうして、大教室の授業ではマイクが使われるのか?

5.適当に、しかし、倜戃不羈に
(1)適当
  ほどよい(良い意味)- いい加減(悪い意味)
  →ほどよく真面目にやればいい。時には手を抜いてもいい。
(2)倜戃不羈
  新島襄の遺言。「信念と独立心とに富み、才気があって常規では律しがたい学生」
  新島は同志社でこのような学生を育てるようにと遺言した。

6.同志社
(1)キリスト教文化センター(公開講座)
  点訳講座(京田辺:月2 今出川:木2)
  手話講座(京田辺:木2 今出川:金2)

(2)障がい学生支援制度(学生支援課)
  ノートテイク、PC要約筆記、対面朗読、テキスト校正、ガイドヘルプ、車椅子介助など。視覚関係・聴覚関係の勉強会も実施。
(3)問題点
  上記(1)(2)の連携が稀薄。
  キリスト教文化センター公開講座に学生が来ない。
参考:「同志社は発展するにしたがって機械的に事を処理する懸念がある。心からこれを戒めること」(新島襄の遺言)


参考URL
 Tenyaku.Net(点訳ネット) http://www.tenyaku.net/
 ブルックの会 http://brook.soc.or.jp/
 関西SL http://sl.soc.or.jp/
 京都リップル http://kyoto-ripple.hp.infoseek.co.jp/
 青木慎太朗 http://www3.kcn.ne.jp/~aoki/http://challenged.sakura.ne.jp/




UP:20050119 REV:20050120
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